エレクトーンの可能性を求めて
ピアノコンチェルト×COMPOSITIONS 2017

20171114日(火) 1830開演

ヤマハエレクトーンシティ渋谷 メインスタジオ

 

       主催:日本音楽舞踊会議 公演企画部

       協賛:ヤマハエレクトーンシティ渋谷

       後援:季刊「音楽の世界」  八王子音楽院 

      全日本電子楽器教育研究会  日本電子キーボード音楽学会



【第1部 ピアノコンチェルト】

ヴェーバー・コンチェルトシュテュック ヘ短調 作品79  
  
演奏:ピアノ:山上由布子

【作品について】


 この曲は、ヴェーバー(1786〜1826)が1815年から構想をし始め、有名なオペラ「魔弾の射手」の初演日である、1821年6月18日の朝に完成した。「離別、嘆き、哀しみ、再会と歓喜」をテーマにした、ストーリー性をもつ小規模な作品である。全体は4つにわかれており、ウェーバー本人の説明書きも残っている。
 larghetto affetuoso:哀しみに沈んだ婦人が塔の中で座っていた。愛する騎士が十字軍に従軍して旅立ってしまったのだ。彼からは便りがなく、彼女は彼と再会できるだろうかと思い悩んでいた。
 allegro appassionato:彼女は騎士が戦場で倒れている姿を想像し、彼の元へ飛んで行き、傍で死にたいと切望している。彼女が気を失いそうになった時、遠くからトランペットの音が聞こえて来て、太陽の光が再び差し込んできた。
 tempo di marcia :騎士達と従者が旗と十字架を携えて徐々に近づいてきた。彼女の騎士も帰還し、彼女は彼の胸に飛び込んだ。
 presto giocoso:木々と波が愛の歌を歌い、勝利を宣言する。全てが幸せだった。





ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18 第1楽章.
  演奏;ピアノ:戸引小夜子

【作品について】


 ラフマニノフ(1873~1943) 作曲家、ピアニスト、指揮者として活躍。タネーエフ、アレンスキーに学び、チャイコフスキーから多くの影響を受ける。モスクワ学派の様式を守り、最後までロマンティックな作風を続け、あらゆる分野での作品がある。学生の時から作品を発表していたが、第一番シンフォニーの不成功から精神科医ダールの治療を受けるようになり、回復していった1901年に作曲し初演されたのがピアノ協奏曲第2番である。重厚な力強さとピアニスティックで華麗な演奏効果を持ち、ロシア風の美しい抒情に満ちている。
――


上同:第2、第3楽章
  
演奏:ピアノ:北川暁子


《第2、第3楽章について》 
   
   
 第2楽章は、ハ短調でオーケストラによって始まるが、すぐにコロッと転調し、調性関係としてはかなり遠いホ長調へ持って行き、ピアノに伴奏させてメロディーをかなでる。その後、同じメロディーをピアノが辿ることとなる。悠々としたメロディーだが、次第に細かくメリスマ的な、いかにもラフマニノフらしい装飾的な動きとなり華やかさを増してくる。コーダは、雄大なイメージ。
 第3楽章は、前奏のオーケストラが従来のハ短調に戻してからピアノの賑やかなパッセージで幕を開ける。リズミカルなテーマや甘美なメロディー等、変化に富み、コーダでハ長調となり一気に爆発して終わる。




電子オーケストラの演奏陣

                                               
 指揮:寺島康朗  ELS-02C:鈴木栄奈  ELS-02C:佐々木彩香



      














  ☆*+★+*☆*+★+*☆*+★+*☆*+★+*☆★+*☆*+★+*☆*+★+*☆*+★+*☆*+★+*☆


【第2部 COMPOSITIONS 2017】
〜エレクトーンのための作品の初演・再演〜

三宅康弘:Believe−信ジルチカラ for 1 Player on 2 Electronic Organs[2011/2017]
  作曲:三宅康弘/演奏:ELS-02X,02C:塚瀬万起子

  【作品ノート:三宅康弘】

日々生活しているとさまざまなことが起こりますが、一見不幸に思えるような出来事も、長い目で見ればハッピーエンドを迎えるためには必要なことだったりしますよね。どうなるか分からない未来については、「ぜったい大丈夫。うまくいく!」と、何か大きな流れのようなものに身をゆだねた「信じる力」って強いように思います。
この曲は、「信じる」という行為を音楽的に翻訳したもので、鍵盤を弾くと時間差をおいてエコー効果が得られる「ディレイ」の機能を多用していることが特徴としてあげられます。また、鍵盤を向かい合わせにした2台の電子オルガンは、演奏者前方のものが舞台上のスピーカーから、そして演奏者後方のものが客席後方のスピーカーから音が出るようセッティングし、前後左右4つのスピーカー間で音が移動して、会場全体が音響体に包み込まれるような仕掛けを施しました。
本日、演奏してくださる塚瀬万起子さんは、卓越したテクニックを持つ音楽家として尊敬する存在であるとともに、昔からの友人として親しくさせていただいている仲でもあります。今回の曲における私からの無理難題も、サラリと笑顔で解決してくださったこと、心より感謝いたします。





橘川 琢:エレクトーン独奏のための「秋雨の夜に」作品98
  
作曲:橘川琢/演奏:ELS-02X:内藤香里


【作品ノート:橘川琢】

秋雨聴こえる、窓の外。夜の雨音によみがえる、寂しくも、暖かな思い出。
瞑想、禅的な世界、内省の響き。精神の深みに沈殿しつつも、やがて降り出す雨の中、静かに過去と現在、境界は消えて……。作曲、エレクトーン、ミュージックコンクレート(現実音/具体音)、その柔らかに混じり溶け合い世界の中に、調和と静謐を想いつつ。
演奏をして下さいます内藤香里さんに、深く感謝申し上げます。



高橋 通:森の誘惑
  
作曲:高橋 通/演奏:ELS-02X:西山淑子

【作品ノート:高橋通】

 
曲は3つの部分から出来ています。最初の部分(最後も同じです)が、暗い原始的な森の様子を表しています。その森に奥深く入って行くと、突然空の見える美しさに心を奪われる空間に出会います。本当に美しく魅力的な空間です。そこ入り込んでしまうと、心を捕らえられ、抜け出ることが出来なくなります。深い森に迷い込むと出られなくなるのは、深い森の暗さの中で迷うのではなく、その中にある美しい空間に魅せられてしまうからです。それが森の誘惑であり罠であるのです。

安彦善博:「愛と死」~源氏物語 葵の巻より~
  
作曲:安彦善博/演奏:Sop.:金持亜実、Bri.:武田直之、ELS-02X:山木亜美

【作品ノート:安彦善博】 

     
 Sop.:金持亜実  Bri.:武田直之  ELS-02X:山木亜美



 この曲は1991年にソプラノ、バリトンのソロと、クラリネット、マリンバの伴奏で作曲し初演したものを今回、エレクトーン伴奏に改訂したものです。
 この曲の台本は、ドイツで知り合った乱歩賞作家のである藤本泉さんに、旧作の「耳なし芳一」をお聞かせしたところ、このような形態の曲に大変興味を持ち、彼女が書き下ろして下さったものです。
 エレクトーンの音色は演奏者が考え作り上げ、演奏してくれたものです。藤本泉さんの怪しい世界観をどうぞお聴きください。

中嶋恒雄:春思桃景  電子オルガンのための
  
作曲:中嶋恒雄/演奏:ELS-02X:市川侑乃

【作品ノート:中嶋 恒雄】
 この曲は、2003年に日本現代音楽協会演奏会において初演したデジタルピアノのためのの作品を,大幅に改訂して電子オルガンの作品とした。作品は,2楽章で構成され,1楽章はおそく,2楽章は速い楽章である。1,2楽章とも,調性から無調への逸脱,拍節リズムの不断の変化と異なる拍節リズムの組み合わせ,拍節リズムから自由リズムへの移行がその方法である。









 コンサートのコンテンツのメニューに戻る